債務の返済に関する法的手段についての解説

近時の我が国の経済動向について

2023年ころから続く物価上昇、2025年1月からの日本銀行による政策金利の引上げにより、消費者金融からの借入れ、銀行カードローン、住宅ローンの返済が苦しくなっている方が増えているのではないかと思います。

そこで、これから債務の返済に関する法的解決について、ご説明したいと考えています。

法的解決には、主に1自己破産、2民事再生、3任意整理がありますので、以下、概要を述べていきます。

💰 自己破産

破産手続の概要

自己破産の手続は、大きく1破産者が所有している財産を分ける手続と、2破産者の債務(借金)を免責する手続に分けることができます。

もし、破産者に財産がある場合には、これらの財産を売却して金銭に換え、その金銭を債権者(お金を貸していた人等)に平等に分配します。

財産を金銭に換え、金銭を債権者に分配する手続は裁判所から選任された破産管財人(多くの場合は弁護士)が行います。

その後、破産者を免責すべきか破産管財人及び裁判所が審理して決定します。ここでは、免責不許可事由(破産法252条1項1号~11号)までの有無(ギャンブル等)がないか審理されますが、免責不許可事由がある場合でも裁判所の裁量による免責される場合があります。

破産手続の具体的内容

上記は、破産管財人が選ばれる管財事件と言われるもので、申立人の代理人として活動する弁護士等への着手金と報酬とは別に裁判所への予納金を収める必要があります(最低金額20万円)。

しかし、破産される方の中には、金銭に換えることができるような財産をお持ちでない方も多くいらっしゃいます。そのような場合には、破産管財人は選ばれず、破産開始決定と同時に破産手続が終了します(同時廃止と言います。)。そのため、上記の裁判所への予納金は不要となります。

破産によって破産者の方が債務を免責される(借金を返済する責任がなくなる)ことから、多くの方がこの破産手続が第1の選択になると思われます。破産手続については、後日、詳述したいと思います。

🏡 民事再生

民事再生は、債務を圧縮して(債務を5分の1程度にする。ただし最低額は100万円)、3年から5年で返済していく再生計画を立てる手続きです。

民事再生については住宅特別条項といって、住宅ローン付きのご自宅を手放さずに、住宅ローンはそのまま返済しながら、住宅ローン以外の返済額を減額する手続もあります。

そのため、住宅ローンを支払っている自宅をお持ちの方は民事再生を選択することが多いと思います。

再生計画どおりに返済を続ける必要がありますので、収入が安定している必要があります。

自己破産では自宅を含め、債務者の財産を全て金銭に換えるため自宅を維持できないですが、民事再生では自宅を維持できるというメリットがあります。ただし、減額されるとはいえ、住宅ローンを含めて、住宅ローン以外の債務も支払い続けないといけないというデメリットもあります。

民事再生には、小規模個人再生(主に自営業者の方)と給与所得者個人再生という2つの手続があり、債務者の代理人として弁護士が裁判所に申立てます。これらの手続についても後日、詳述したいと思います。

🤝 任意整理

債務者の代理人として弁護士が消費者金融等と交渉し、3〜5年の分割払いで解決を目指します。

裁判所を通じての手続ではなく消費者金融等の相手方の対応によるものです。

そのため、債務額は将来債務のカットに止まることが多く債務額を大幅に減らすことはできないため、自己破産や民事再生の方が効果的であり、任意整理が適した手続きである債務者は限られます。

住宅ローンがない自宅をお持ちで、返済可能な収入があるの方の場合に、任意整理を選択することがあります。

まとめ

手続 内容 適した債務者
自己破産 債務者の財産を換価して、債権者に分配する。その上で残った債務を免責する。 財産がない方。事業等の失敗により返済の見込みがない方
民事再生 住宅ローン以外の債務を減額して、3~5年以内に返済を目指す手続 住宅ローンが残った自宅を所有し、収入が安定している方
任意整理 弁護士が消費者金融等と交渉して将来利息のカットと3~5年以内での返済を目指す。 住宅ローンのない自宅をお持ちの方で、3~5年で返済の見込みがある方。

執筆者紹介

弁護士 乾 哲哉(岐阜県弁護士会所属)

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